乙女の恋はいつも甘〜いアイツに振り回される

友達はみんな、どこの大学に行く、どこに就職する、と言って話している。しかし、華恋は自分の進路を決められていない。

そもそも、就職なのか進学なのかも決めていないのだ。

進路指導の先生は、口酸っぱく「自分の進路なので、きちんと自分で考えるように！」と言っている。進路指導室に足を運ぶ生徒も増えている。

しかし、華恋は高校を卒業した後のことは全く考えていなかった。

進学はできないことはない。しかし、自分が何を学びたいかがわからない。就職も同じで、この職業に就きたいというのがないのだ。

泣きそうになりながら華恋がそう言うと、友達の一人が言った。

「じゃあさ、彼氏と結婚したら？そしたら進路希望調査に「お嫁さん」って書けるよ〜」

「そんなこと言われても〜…」

ふざけ半分で言う友達に、華恋はため息が出た。友達は「いいね、それ！」「働かなくていいじゃん！」と笑っている。

四月の半ばの空は青いのに、華恋は心に重い雲を抱えた。