甘い魔法をあなたに

天才問題児の偽り

「次の授業も休んじゃおうかな…？」

私は、満面の笑みで彼に話しかけた。私の隣に居た彼は、私の顔を見つめて「何で俺に聞くの？」と深いため息をついた。

「ねぇ、モニカ？」

不意に私の名前が呼ばれ、私が彼の方を向くと、彼は私に向かって手に持っていたステッキを振った。

私の名前は、モニカ。魔法学園という全寮制の学校に通う魔法使いで3年生だ。ちなみに、季節は夏。

この世界の魔法使いは、生まれつき持っている魔力を使って――ではなく、この世界の空気中にある魔力を体内に取り込んで魔法を使っている。

私の隣に居る彼は、ルカ。私の幼なじみだ。ちなみに、魔力を取り込むことが出来るのは、魔法使いになる素質がある人だけなのだ。

ポン、と音を立てて私の手の中に1冊の本が現れた。

「モニカ、たまには授業を受けたら？」

私はとあることを思いつき、次の授業を受けることにした。ニヤリ、と笑った私を見てルカはいつものように苦笑した。