甘い魔法をあなたに
ルカがモニカちゃんを連れ出した後の教室。僕は、ルカの行動に驚いていた。
僕の名前は、ルイス。ルカの友達だ。ルカは、僕と遊んでいた時に一切モニカちゃんの話を出さなかった。
その時、授業の開始である鐘が校舎内に鳴り響いて僕たちは慌てて席に着いた。いつの間にか、授業が終わってから10分が経っていたらしい。
「授業を始めるぞー」
そう言いながら入って来た先生が周りを見渡して首をかしげた。
「あれ…ルカは?」
あれから、ルカとモニカちゃんは教室に戻って来ていない。ルカは、いつも授業が始まる前には席に着いていた。
「あー…ルカは、モニカちゃんを連れてどこかへと消え――」
僕が途中まで言ったその時、教室のドアが開いた。そこに立っていたのは、うつむいているルカ。前髪で隠れて表情が見えないが、辛そうにしていることが分かった。
「ル、ルカ…?どうし――」
ルカは、教室のドアを閉めると先生に抱きついて泣き崩れた。その様子に僕を含めたクラスメイトは戸惑う。
「バカだ…俺は、本当にバカだ…っ!」
「ちょ…ルカ、落ち着け!何があったんだ!?」
先生がルカに落ち着くように促しても、ルカは「ごめん。モニカ…ごめんな、さい…っ」と泣き続けているだけだった。