甘い魔法をあなたに
天才問題児の過去
私には、昔、心の底から信じていた親友が居た。名前は、ミレイユ。彼女と居ると、私は自然と笑顔になれたんだ。でも、ある日彼女は……。
これは、私が魔法学園に来る前のお話――。
「ねぇ、ミレイユ…私、まだミレイユに話していないことがあるんだけどさ」
「どうしたの?」
私は、本当にミレイユにこのことを話そうか迷った。
……でも、話しても良いよね。ミレイユとルカは、信じられるから。
「私さ。この中学校を卒業したら、魔法学園に行くって言ったでしょ?……てか、行くでしょ?」
ふわり、と落ちてきた雪が私の手のひらに乗る。私は、その雪を優しく握った。
私は、来年度から魔法学園に入る。今は、中学三年生の冬だ。
「え?うん」
「私が魔法学園に入るの、理由が2つあるんだよね。1つ目は、単純に魔法を習いたいから。もう1つは――家族から離れることが出来るから」
私がそう言うと、ミレイユは驚いた顔で私を見つめた。
「ど、どういうこと?」
「私、最近ずっと兄から暴言吐かれてるんだ。それを知っている両親は見て見ぬふりで私を助けようともしてくれなくて…だから――」