きみの理想の相手
理想の相手とは
私は、暦理実(こよみりみ)二三歳。
社会人一年目の新人。
中央駅から高木東バス停前で朝通っている。
バス停に降りた後、いつもの通学路を歩いて、徒歩一〇分ほどにある仕事場に向かう。
自分で考えながら、歩くのが好きだ。
冷たい風にあたりながら、歩くと気持ちが晴れやかになる。
「おはようございます」
「おはようございます」
少し頼りない課長とあいさつを交わして、自分のロッカーに向かう。
すると、いつも朝早く来ている竹林(たけはし)さん。
化粧をほとんどしてなくて、すっぴん。
肌がよく年齢不詳で不思議な女性だ。だけど、優しくいつも気配りを欠かさない。
「おはようございます」
一言だけ交わして、私は毎日仕事が始まる前に行っていることがある。
私が働いている会社は、重度知的障害者の生活介護の支援員をしている。
福祉現場で働いている新人という下っ端である。
私は元々福祉現場と関係ない仕事として働きたかった。
だけど、私が持っている持病があるから、二次選考で落ちることが多い。
昔からそんなことがあったから、今更気にしてはいない。
縁あってこの会社に入れたことは感謝している。
私が私らしくいられる場所と言うものは、見つからない。
小学生から私の目標は、自分が自分でいられることであった。
それは、小学高学年から周りと違うことが多々あったからだ。
勉強は平均以下で友達はたくさんいた方で、今でも付き合いのある友人はいる。
だけど、他人を信用していない部分がある。
現在、生活介護の会社に入り、文句を言いながらも会社に入って3カ月が経っていた。
利用者が使用するものを指定な場所において、利用者が昨日どんなことをしたか、具合はどうだったかを確認して、朝礼が始まる。