きみの理想の相手
「…急に呼び出したり、理実とは前みたいに仲良くしたかったんだ」
亮介は、隣にいる私を目を合わせず、声だけかけていた。
「……前みたいって、付き合っていた頃ってこと?」
私は亮介の答えに返事をした。
「ああ」
亮介は窓の外にいる賑わう人だかりが目に映り、どこかを見つめている。
「……戻れる訳ないよ」
私はそう呟くと、亮介は私の反応に驚いたのかこちらを見て返事をする。
「……だけど、俺はいつも思い出してたよ、理実のこと」
亮介は近距離でまっすぐ私を見つめて、いつも明るく元気さを持っている亮介とは違く、真剣な目をした男の姿があった。
私はその目を知らない。