きみの理想の相手

「かしこまりました。今お作りしますね」

左に寄って注文品が出来るまで店員が作っているカフェモカをひたすら眺めていた。

何も考えずに、無心に店員が作るカフェモカを見つめていた。

なにも考えたくなかった。
亮介が悪いわけじゃない。これは私の問題だから。

言い寄られることは、大学の頃からそれなりにあった。

言い寄られたりすると、相手と普通に会話していたのに、そういう行為をされると避けてしまう。

男嫌いではないのだけど。

「……お客様?」

「はい!」

「カフェモカ出来上がりました」

「あ、ありがとうございます」

私は呆然とどこかを見つめて、店員さんにお礼を言ってから一人席に座った。

外がよく見える一人席に座ると、仕事に行く人がちらほら見える。
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