きみの理想の相手

「あの……」

「…はい」

さっき程会計をしてくれたカフェ店員さんが私に話しかけてきた。

「……あの…暦ちゃん?」

カフェ店員は遠慮気味に私の顔を窺うように聞いてくる。

でも、私にはカフェ店員と面識がなく、困っていた。

「えーと」

「そうだよね。じゃあ、これで分かるかな?」

カフェ店員は、おでこ出しだったので、前髪で固めているのを私の目の前で下ろした。

それは、私の見たことある人が目の前に現れた。

「恵くん?」

私は見たことのある人をよく見る。

それは、高校時代の初恋の人で初めての彼氏。
恵くん。

まさか、ここで働いているなんて。

「そう。思い出した?」

恵くんを私は目を見開いて、ただ恵くんを見つめる。突然の初恋の人に驚きを隠せない。

「………ここで働いてるの?」

「そう。まさか、暦ちゃんに会えるとは。何年ぶり?」

恵くんはあの頃と変わらない笑顔で私に笑いかけてくれた。
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