きみの理想の相手
それで理実は、どう返事したらいいか分からず、悩んでると」

 私の返事につっこむかのように、琴美は私が知りたいと思うことを発した。

「そう……私は金井さんが好きなのに」

 私は金井さんのことが好きだけど、亮介、恵さんのことはどう思っているか自分自身でもよく分からないでいる。

 そう琴美に発したとき、ため息をついて琴美は私に言う。

「そんなの決まってんじゃない」 

「え?」 

 私は目を丸くさせて、琴美を凝視する。

「理実。目を閉じて、誰を想うの。誰の言葉が理実の心を励ましてくれるかだよ」

 琴美は私を励ますかのように、恋愛の好きを琴美なりに言ってくれた。 

「誰か」

 私は一口飲んだコーヒーをテーブルに置いて、考えた。

 金井さんのことは、一目惚れで初めての感覚だった。人目見た時から、何かを感じた。 

 そして、話していく内に、彼の人柄と憎めない発言が好きになっていた。

 だけど、亮介と恵くんは?

 知り合いから、告白されて戸惑ってるから。 

 それとも、友情と憧れが彼等の中にあるから、羨ましくなった。

 ……分からない。
 だけど、これで何も解決しない。
 彼等の気持ちを無視したことになる。

「私、まず亮介と話してくる」

「なんか吹っ切れたみたいね。それなら、良かった」

「うん、ありがとう」

 私が礼を言った時、プルプルプルプルと携帯の通話音が鳴り響く。

「もしかして、亮介先輩だったりして」

 琴美が冗談まじりに私に言う。

「いや、それはさすがに」

 そう言いながら、携帯をカバンの中から取ると、電話主は亮介だった。

「マジで亮介だ」

「マジか」  

 琴美は目を見開いて、私に言葉を発した。

「……はい」

 私は携帯を持ち、通話ボタンを押した。 

「理実か」

 亮介は前会った時よりも、声が低く何か疲れている様子だった。

「ゴメン。色々」

「……いや、うん。大丈夫だ。理実、明日会えないか?」

「でも……」

「理実に伝えたいことがあるんだ。聞いてくれないか」

「……わかった」

「ああ。それを聞いたら、返事がほしい」

「……わかった。じゃあ、明日のお昼の時は?」

「大丈夫だ。じゃあ、明日また連絡する」

 亮介と話し終えたら、電話を切った。
いつも通りに接してくれる亮介に感謝だ。

「理実?どうだった」

 琴美は、私の部屋にあった雑誌を片手に持ち、私に聞いてきた。
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