きみの理想の相手

「いつも通りで、明日昼に会うことなった」

 私は琴美の目を見てから、声を発した。

「え?急にだね。何か亮介先輩言ってた?」

「私に伝えたいことあるらしい」

「じゃあ、理実は亮介先輩に気持ち、素直に答えるしかないね」

 琴美はそう言って、私を見ていた。

「……そうだよね。うん」

 私は少し戸惑いながら、返事をした。
 本当のところ、分からないから。
 自分の気持ちが。

 そのあと、琴美と仕事の愚痴、恋愛など親しい人しか話せないことを話してから、琴美は仕事の電話がきて、忙しく帰っていた。

 その翌日

 いつも通り仕事に行き、業務をこなしていたら、あっという間にお昼休憩になった。 

 待ち合わせ場所は、亮介が仕事がたまたま休みだった為、私の職場近くまで来てくれた。

 その後、馴染みのカフェでお昼を食べることになった。

 私が行くと、もう亮介はいた。

「……元気か?」 

 私は、亮介と向き合うと、お互い黙り込んでいた。

「…元気だよ。ほら、行こう」

 私は気まずい空気から逃げるため、カフェに行こうと言葉を繋いだ。

「ああ」

 素直に返事をした亮介は、私の後をついて、カフェに入った。

「こんにちは」

 私は元気よく挨拶をした。

「理実ちゃん。最近見かけなかったからさ。尊くんも最近来ないし。なんか聞いてる?」

 店長は、寂しそうに私に問いかける。

「尊くん?」

 亮介は男の名前に反応したが、私はそれを無視して、店長との会話を続ける。

「いや、見てないよ」  

 私は店長の答えに応えた。

「そうかい。なんだかんだ来てはくれたからね。大丈夫かね」

手元にあったコーヒーメーカーを動かしてから、私のことを店長は見てきた。

「……そうですね。そのうち来ますよ」

 私はただ答えるしか出来なかった。 
 尊くんとは家は知ってるが連絡先も知らないし、どこにいるかまで。

「そうだよね。気長に待ってような。あ、ごめんね。ここ座っていいよ」  

 店長は、目尻が下がるほど笑っていた。

「ありがとう、店長」

 私は店長にお礼を言ってから、テーブル席に向き合う形で座った。

 亮介は尊くんと言ったくらいで、あとは黙っていた。いつもの亮介じゃないみたい。

「……尊くんは高校の時の同級生。なにもないから」

 私は呟くように、亮介に言った。

「…ああ、そうなのか」

 亮介は目を丸くして、私の顔を凝視した。

「そう。なんだと思ったの?」

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