きみの理想の相手
「当たった?」
尊くんは首を傾げつつ、頬杖をついて私に聞く。
「…うん、まあ、そうだね」
私は返事をして、尊くんを見る。
「そっか。なるほどね。亮介さん。暦のこと別れてからも好きだったしね」
尊くんはうんうんと納得しているのか返事をしていた。
「え?そうなの」
私は目を丸くして、尊くんを見る。
「…分からなかったのか」
尊くんは驚いた様子で、私をじっーと見てくる。
「長年友達だったからね。それより、尊くんの話でしょ」
尊くんの目をそらして、私は話を変えた。
「…まあ、特に話すことは終わったよ。俺は暦に話せてよかったよ、やっぱり。ただ聞いてるだけでなんか安心したよ。でも、忘れることはできないけどね」
尊くんは安心したような表情をしているが、少し眉を寄せて険しい表情をしていた。
「…大丈夫。尊くんは。心の中に思い出として残してみても無理やり消すことはない」
私は尊くんの肩に手に置き、笑顔で彼に言う。
「…あはは。変わらないな。暦は。高校の時と一緒だ」
尊くんは右足を左足に組んで、膝に手を置き、下に俯いた。