きみの理想の相手
「……ほんとは幼なじみだけじゃなかった。俺はあいつが好きだった。でも、高校の頃、暦とで会って変わった。言いたいこと言って、素直に相手にぶつける。だから、一緒にふざけてたり、話すだけで楽しかった。だけど、彼氏がいたからね。恵さんが別れた時は慰めようと暦の所に行った時は遅かった。亮介さんが暦の所に行っちゃったから。あの時と気持ちは変わらないよ」
私の顔の目の前にいる尊くんは、噛まずにスラスラと口にした。
「……どういうこと?」
私は首を傾げて、尊くんに問う。
「……ふぅ。これで言ってもダメか」
尊くんは呆れた様子で頭を抱えて、私に言う。
「え?」
私は目を丸くして、今ある情景を頭の中で整理したかった。
尊くんは、私にキスをしてきた。
軽い軽いキス。
尊くんは口角を上げてから、私に言う。
「そういうこと」
尊くんはそう言ってから、立ち上がった。
「….…言葉にしなきゃ分からないから」
私は座り込んだまま、上目遣いで立っている尊くんにぶつける。