きみの理想の相手
「なんで?」
私は目を丸くして、恵くんを見る。
「…そりゃ、毎日暦ちゃんの写真見てたから…」
小さい声で恵くんは照れた様子で私に言って、頭をかいていた。
「え?」
私が恵くんに聞こうと、声を発した時、店員がやってきた。
「お待たせしました。紅茶でございます」
さっき程きた女性店員がまた来て、紅茶を用意してくれた。
「ありがとうございます」
私は礼を言うと、女性店員はまたどこかに去っていた。
「……」
テーブルに置かれている紅茶を手に取り、私は一口口に運ぶ。
「暦ちゃん。話してくれる?」
恵くんは一度携帯を見てから、私の方へ向く。
「……いいよ」
私は返事をしようとすると、カランカランと扉が開く音が聞こえた。
私は振り向くと、見たことある人物がいた。
「金井さん」
「理実さん」
私は座ったまま後ろを振り返っていたので、後ろにいる金井さんは目を丸くしていた。
金井さんは、ただ立ち尽くしていた。隣にはお友達だろうか。
「輝と廉。なんでここにいるんだ?」
恵くんは立ち上がり、金井さんと隣にいる男性に話しかけていた。
「恵くん、知り合いなの?」
私も立ち上がり、恵くんの隣に来て、聞いた。
「知り合いだけど、暦ちゃんはなんで」
目を丸くして恵くんは聞いてきた。
そりゃ、そうだろう。
大学生なんて、社会人になったら、接点ないし。
「えーと、なんと言ったらいいか」
私は戸惑っていると、金井さんは声を発した。
「バイトのとこの先輩の知りあい」
「あ、そうなんだ。じゃあ、輝と廉もここに座りなよ」
顔を変えず疑うことなく恵くんは、金井さん達に接してくる。
その時、もう一人の隣にいた男性が言う。
「恵くん。俺らちょっとこのあと用事があるから、テイクアウトしてすぐ行くから」
もう一人の隣にいた男性は、恵くんにそう言った。