きみの理想の相手
すると、廉さんは声を発した。
「…恵くん。怒ってないの?僕が恵くんと理実さんを会わせるようにしたのに」
廉さんは恵くんの様子を伺うように話しかけていた。私はその様子を真ん中に座り、見ていた。
「…怒ってないわけじゃない。まさか、輝までいるとは分からなかったからな」
恵くんは優しい口調で廉さんに言ってくる。
「…そうだよね。でも、輝が心配だったから。恵くんもまさか同じ人を好きだとは思わなくて」
廉さんは安心したかのように声を発した。
だが、恵くんは顔を変えず、恵くんとは思えない発言をした。
「余計なお世話だよ。廉。いつもならそんな
ことしないだろ。さっき、暦ちゃんにフラれたばかりなんだから」
恵くんは優しい顔つきはしているが、言葉はキツい。
「…え?そうなんですか」
その様子を見た廉さんは、少し顔を怖ばせてから、私の方に振り向いた。
「はい」
私は俯きつつ、返事をした。