きみの理想の相手
金井さんはフォークを片手に持ち、チョコミントパンケーキを私の目の前に差し出していた。
なんだ、なんだ。
私は戸惑いながら、金井さんに言う。
「あの、これはちょっと。人前ですし」
金井さんの様子を気にしながら、私は素直に彼に聞いた。
「…そうですよね。分かりました。だけど、今がチャンスですよ。今人少ないですし」
周りを見渡しながら金井さんは私に言う。
確かに。今はお昼前だからか、人は少ないし。
店員も客も仕事・食事をしていて、周りを見ていない。
いやいや、無理だよ。無理。
人前だし。
自分でそう思いながら、金井さんを見る。
金井さんは一旦フォークを皿に置いて、私を見た。見た瞬間、フォークを私の口元に近づけた。
その時、私は何を思ったのか。
金井さんが私の口元に近づいてきたパンケーキをパクりと食べてしまった。
思いのほか、金井さんの顔が近くにあり、目を泳がせながらパンケーキを口にした。
私は両頬にパンケーキをモグモグと食べながら、金井さんを見る。