きみの理想の相手

 隣は学生のカップル、左隣には社会人カップル。

 右を見ても左を見ても、カップル。

 その真ん中に私たちがいた。

 なんという気まずい空気。

 お互い黙ったまま、金井さんがダーツを持って始めた。

 シュ、トン

「おっ、当たりましたね」

「意外と勢いよくやらないと出来ませんね」

 金井さんは袖を上にあげて、後ろにいた私に言ってきた。

「…うーん、そうですか。あ、次私ですね」

 私は金井さんと交代でダーツをし始めた。

 右腕を力強く振って、バンッと勢いよくやると、奇跡的に真ん中に当たった。

「え?」

 私は驚いて後ろを振り返り、金井さんを見た。

「凄いですよ。初めてやったのに、一発であたるなんて」

「…え?」

 私は状況を飲み込めないでいた。呆然と立ち尽くしていると、左右隣のカップルが私に向かい、歓声を浴びていた。

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