きみの理想の相手

「凄い!なんですぐ出来たんですか」

「俺たちにも教えて下さい」

 左右隣のカップルは、私に詰め寄り聞いてきた。

 私は言葉を詰まらせながら、カップルを見た。

 その光景を後ろで見ていた金井さんは、私に声をかけてきた。

「理美さん。じゃあ、続きやりましょう」
 
 左右隣のカップルの熱を和らげるかのように、金井さんはなんのこともなく口にした。

 私はあっけにとられながら、金井さんに返事をした。

「はい」

 私は金井さんのとこに戻り、ダーツを再開し始めた。
 カップルは、教えて欲しかったなあと呟きながら、自分の場所に戻っていた。

「…俺、投げますね」

 笑顔で私に言って、再びダーツを投げた。
 
 ダーツは真ん中へと命中した。

「おっ、やったー」

 金井さんは両手を上げて、私のところを向いた。

「すごい!当たった」

 私は思わず立ち上がった。

 金井さんはニコッと笑顔で、また私に微笑んで手を振ってきた。

「……っ」
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