きみの理想の相手

「いや、いいよ。俺、払うよ」

 亮介は私の右腕を離さずに、そのままで私に言う。

「いいよ、私たちが食べた分だから」

 私は亮介の手を払いのけて、私は再び財布を持って、会計を済ませようとした。

 だが、亮介はまた私の右腕を掴んできた。

「これは今から送る分だと思っていいよ」

 私は目を見開き、亮介を見る。

「だけど……いいから。亮介」

「これは、俺のお願い。理実、聞いてくれないか」

 なんで、亮介はそこまで私にお願いを聞いてほしいんだろうか。

 久しぶりに会ったばかりなのに、なんで。

 亮介は私を見据えていた。

 ただ、亮介は友達として心配してくれたのかもしれない。あんなにお酒を飲んで、倒れたりしたらと。

「……わかった。よろしくね」

「ああ」

 亮介は返事をしてから、会計に向かった。

「ごちそうさま。ありがとうね」

 私は亮介にお礼を言ってから、亮介と一緒に外に出た。

「…あのさ、今どこで働いてんの」

「住吉」
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