きみの理想の相手


 私は目を丸くして、金井さんを見つめていた。すると、私が分かったのか、私に向かって笑いかけてきた。

 私の後ろを振り返っても誰もいなかった。

 そして、前を向くと、金井さんはまだいた。

 金井さんは自分の鼻に人差し指をあてて、口で何が言っていた。

あとで、連絡します

 と誰にも分からないように口で合図してくれた。金井さんは口に人差し指をあててから、私を見つめていた。

 私は、茫然と立ちつくす中、数秒経った後、我に帰った。

 目の前には金井さんはいなくなっていた。

 自分の心臓を右手で押さえてから、私はさっきあった出来事を思い出した。
< 65 / 154 >

この作品をシェア

pagetop