きみの理想の相手
「久しぶりだね。何してたの?」
おぅと言い、右手を上にあげて笑顔で話してくれた。
「お久しぶりです。今日仕事休みですか?」
「そう、休み!それより、輝くん。駅周辺になんかあったの?」
恵さんは、人のことに対してだけは敏感で、自分のことになると鈍感だ。
前に恋愛に対しても、そうみたいと愚痴を零してくれたことがあった。
「……何もないですよ」
「そう。じゃあ、話したくなったら連絡して。
学校にしろ恋愛のこととかね」
恵さんはじゃあと手をあげて、去ろうとしていた。
だが、俺は恵さんに聞いてほしかった。
その時、恵さんの心境なんてお構いなしに、理実さんのことを話した。
だけど、恵さんと理実さんが繋がっていたなんて思いもしなかった。