きみの理想の相手
「…尚更、諦めない方がいいですか。そうですよ。俺は初めてバイト先であった時から好きです。ようやく、食事までするようになって、話せている、それだけでよかったと思い込んでた。だけど、それは自己満で、あの男友達を見た時、悔しくなったんです」
俺はそのままコップを握りしめて、心の中で思っていたことが言葉になって現れてくる。
「……ふーん、そっか。あの輝くんがこんな熱い話してくれるなんてこの時まで思いもしなかったな。中学から知ってるからね」
恵さんはニコッと笑顔で頬杖をついて、答えてくれた。
「……それより、俺聞きたかったことあるんですけど」
「なーに?」
恵さんはゴクッとハイビールを飲んで、俺を見てくる。
「初恋の人が忘れられないって前にも言ってましたよね。それって、学生時代の人ですか?」
俺は恵さんの目を見て聞く。
「…そう、だよ。彼女は一つ下で俺の友達の友人だった。お互い好きだって分かって付き合ったけど。彼女に勘違いさせるような行為をした」
恵さんはジョキを片手に持ち、高校時代を振り返っているのかどこかを見据えていた。
「それって」
俺は恵さんに向けて、声を発した。