この世界に生まれたのは間違いだったのか?
音のない世界に生まれた私は、ある日ピアノに出会った。

最初は、『聞こえないのだからピアノなんてやったって……』、そう思いながら鍵盤に触れ音を鳴らした。

勿論、音は聞こえないが、不思議と手が震えていた。

鍵盤を押した瞬間、音の振動が分かり、手がジンジンしたような感覚になった。

その感覚が忘れられなく、私はひたすら鍵盤を押し続けた。

『音が聞こえない』『やっていく価値がない』

そう思っていた私の心をピアノは一気に打ち消していったのだ。

本当に楽しくて、夢中になっていると、4時間位も弾いているときもある。

それくらい、私は本当に自分が夢中になれるものを見つけたからだ。


< 1 / 10 >

この作品をシェア

pagetop