数学の先生はお兄ちゃん⁈…助けて…(短編)
Aの家は、冷たい。

俺が子供の頃、最初にAの家で思った事だった。

会話の無い家族。

学力にしか興味のない父。

世間体を欲する母。

俺はこんな家もあるのかと、その時初めて知った。


『A、こんな家でお前寂しくないの?』

俺がそう聞いた時、彼女は目を大きく見開いた。



『寂しいよ。』

ポツリと言ったその言葉は、言葉に出来ないほどの切なさを帯びていた。

俺が親の事情で引っ越すことになった時に、
Aは言った。



『絶対、迎えに来てね。それまで私、頑張るから。

もう泣かないから。』
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