数学の先生はお兄ちゃん⁈…助けて…(短編)
あいつは授業が終わるとすぐに教室から出て行った。

俺は、どうしても気になってしょうがない。
あいつ俺のことを覚えているか。

俺は、居ても立っても居られず、
逃げるように出て行ったAを追った。


「Aっ…だよな?」

俺は、Aの手を掴みそう言った。


「西条先生。覚えていたんですね。」

Aは俺の方をちっとも見ずにそう言った。

俺はその時ハッとした。
そうだ、Aももう高校生なんだ。
昔と変わらずなんてそんなわけがないか。


「Aがここの高校とは知らなかったよ。

これからは俺が数学担当だからよろしくな。」


俺は少ししどろもどろになりながらそう言った。

「よろしくお願いします。」

Aはそう言うと教室の方へ戻っていった。


その時に一瞬見せたその顔は、
苦しそうな泣きそうな表情をしていた。
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