数学の先生はお兄ちゃん⁈…助けて…(短編)
Aの目に、涙が溜まっていく。
いっぱいの涙が溢れそうになっていく。
堅く作られた表情が崩れ、体は小さく震えていた。
Aは一歩だけ、一歩だけ
足を力無く俺の前に踏み出して
俺はそんなAを、力一杯抱きしめた。
Aは泣く。
声を上げて、
これまでの悲しみを、感情の蓋を開けて
Aは、泣く
俺はそんなAを強く強く抱きしめた。
「これまでよく頑張ったね。偉かったね。」
「おにぃ、ちゃん。」
教室には、Aの泣き声だけが強く響いていた。