刺激を求めていたオレが念願の異世界転生を果たすも、そこはラスボス手前のセーブポイントだった件
----いてぇ。 視界がぼやける中で、急な尻の痛みと共に全身の感覚がおぼろげだけれど戻ってきた。目はまだ眩んでいる。耳は・・・・・・
「ーーで、---が」
「----しょ!?」
「--はーー」
誰かがいるな。でも会話の内容までは分からない。もうしばらく聴覚は戻りそうにないな。とにかく今は近くに誰かがいることは判明したわけだが・・・・・・
「ーーうっ!うぇ」 五感の確認を順番にしていこうとして、意識して鼻で呼吸をした瞬間に今までに嗅いだことのないような強烈な腐臭を吸い込んでしまった。まるで腐った粘液を鼻から飲み込んだような、クラス全員からの嫌悪感を一気に飲み込んだような、生きてきた中でも最悪の汚染された空気に満ちている。
オレは反射的に口呼吸に移行して、喉にまでせりあがってきていた強烈な吐き気をどうにか飲み込んだ。辺りに満ち満ちている腐敗臭に慣れるにはかなり時間がかかりそうだ。
視覚・聴覚・嗅覚の確認を終えて、恐る恐るオレは手に力を込めた。尻の鈍痛と身体の感覚からして恐らく手を背中の後ろに突く形で着地(?)をしたのだろう。体重を後ろに預ける形で手をついて座っている様な状態だ。うっーー!?
泥とも違う妙な感覚が指先に伝わってきた。理科の実験で作ったスライムのような、幼心に不思議気持ちいいと感じた感覚とも違う。恐らく正確に一致する感触をオレは知らないのだけれど、例えるならそう風呂場のカビが放置されて湿気を含んだそれを指でなぞったような手に残る粘度の高い”ぬめり”のような感触が、手の平いっぱいに伝わってきて全身を鳥肌が覆う。
「くそ・・・・・・どういう状況だこれ」
オレは確かに図書館にいたはず。確かそうだ、ラノベを選んでいて一冊の本を手にした瞬間。視界が歪んで、それでーー
ダメだ。しっかりと思い出せない。確かなことはついさっきまで図書館に居たのに、今は明らかに違う場所にいるという事実だけ。まさか誘拐?拉致?ここはどっかの使われていない倉庫で、記憶や感覚が断片的でマヒしているのは薬物によって昏倒して連れてこられたから?
「なんて、そんなわけないか」
だとしたら口を塞いでいないのもおかしいし、手足を拘束されても居ない。何よりも全身がありとあらゆる感覚を総動員してオレに伝えているじゃないか、現実世界ではあり得ないと。
手足の感覚が大分もどってきたぞ。オレはゆっくりと手を握ったり開いたりしてみた、そして滑らないように注意しながら地面を押す様にして、上体を起こした。
ようやく不快なぬめりから解放された両手。足にも力が戻ってきた。でもまだ視界は戻っていないから、立ち上がったり移動をするのは難しそうだ。明暗だけはようやく分かる様になってきているが、妙に暗い。ただ、心もとない仄かな光だけれど少し先に何か光源があるのが分かる。
「ここまででーーだいぶーーーー」
「ーーだな。しかしーーーでーーーったから」
「あなたはいつもーーーーー」
日本語だよな?何人いる?だいぶ取り戻してきた聴覚、数メートル先で誰かが会話をしていることが分かる。図書館の人・・・・・・では無いよな多分。だからといって、誘拐犯でもなさそうだし、4人か5人いるその声のどれもに聞き覚えなどはなかった。
「ーーよ」
なんだ?また違う声が聞こえたような。
「ーー者よ。我はーーー」
「ーーで、---が」
「----しょ!?」
「--はーー」
誰かがいるな。でも会話の内容までは分からない。もうしばらく聴覚は戻りそうにないな。とにかく今は近くに誰かがいることは判明したわけだが・・・・・・
「ーーうっ!うぇ」 五感の確認を順番にしていこうとして、意識して鼻で呼吸をした瞬間に今までに嗅いだことのないような強烈な腐臭を吸い込んでしまった。まるで腐った粘液を鼻から飲み込んだような、クラス全員からの嫌悪感を一気に飲み込んだような、生きてきた中でも最悪の汚染された空気に満ちている。
オレは反射的に口呼吸に移行して、喉にまでせりあがってきていた強烈な吐き気をどうにか飲み込んだ。辺りに満ち満ちている腐敗臭に慣れるにはかなり時間がかかりそうだ。
視覚・聴覚・嗅覚の確認を終えて、恐る恐るオレは手に力を込めた。尻の鈍痛と身体の感覚からして恐らく手を背中の後ろに突く形で着地(?)をしたのだろう。体重を後ろに預ける形で手をついて座っている様な状態だ。うっーー!?
泥とも違う妙な感覚が指先に伝わってきた。理科の実験で作ったスライムのような、幼心に不思議気持ちいいと感じた感覚とも違う。恐らく正確に一致する感触をオレは知らないのだけれど、例えるならそう風呂場のカビが放置されて湿気を含んだそれを指でなぞったような手に残る粘度の高い”ぬめり”のような感触が、手の平いっぱいに伝わってきて全身を鳥肌が覆う。
「くそ・・・・・・どういう状況だこれ」
オレは確かに図書館にいたはず。確かそうだ、ラノベを選んでいて一冊の本を手にした瞬間。視界が歪んで、それでーー
ダメだ。しっかりと思い出せない。確かなことはついさっきまで図書館に居たのに、今は明らかに違う場所にいるという事実だけ。まさか誘拐?拉致?ここはどっかの使われていない倉庫で、記憶や感覚が断片的でマヒしているのは薬物によって昏倒して連れてこられたから?
「なんて、そんなわけないか」
だとしたら口を塞いでいないのもおかしいし、手足を拘束されても居ない。何よりも全身がありとあらゆる感覚を総動員してオレに伝えているじゃないか、現実世界ではあり得ないと。
手足の感覚が大分もどってきたぞ。オレはゆっくりと手を握ったり開いたりしてみた、そして滑らないように注意しながら地面を押す様にして、上体を起こした。
ようやく不快なぬめりから解放された両手。足にも力が戻ってきた。でもまだ視界は戻っていないから、立ち上がったり移動をするのは難しそうだ。明暗だけはようやく分かる様になってきているが、妙に暗い。ただ、心もとない仄かな光だけれど少し先に何か光源があるのが分かる。
「ここまででーーだいぶーーーー」
「ーーだな。しかしーーーでーーーったから」
「あなたはいつもーーーーー」
日本語だよな?何人いる?だいぶ取り戻してきた聴覚、数メートル先で誰かが会話をしていることが分かる。図書館の人・・・・・・では無いよな多分。だからといって、誘拐犯でもなさそうだし、4人か5人いるその声のどれもに聞き覚えなどはなかった。
「ーーよ」
なんだ?また違う声が聞こえたような。
「ーー者よ。我はーーー」