刺激を求めていたオレが念願の異世界転生を果たすも、そこはラスボス手前のセーブポイントだった件
なんだろうこの声、たぶん頭の中に響いている。
「転生者よ。我はーーークス。汝のーーー」
転生者?転生者って言ったのか今?おいおいおい嘘だろ?もしかしてオレってば、本当に異世界転生したとか言わないよな。
「オレを呼ぶのは誰だ?”そこ”にいるんだろ!?」 そう言った瞬間だった。オレが頭の中に響くその声を受け入れたことがきっかけになったのかは分からないが、それまで霞の中から聞こえるような感覚だった声がはっきりと頭の中に響く様になった。
『転生者よ、よくぞこの世界へ参られた。我が名はインデックスである。何か疑問があれば頭の中で思い描くと良い、我が答えよう』
その声は老年でいて厳格な印象だった。インデックスと名乗ったその声、にわかには信じがたいけれどはっきりとオレのことを転生者と呼んだな。まさか本当に異世界転生しっちゃった感じか?
おいおいおい、やばくないかこれ!?「くくっ」 と思わず零れていた。オレは口元を手で抑えながら、抑えることのできない高揚感に包まれていた。
「この状況で笑うか。なかなか見ごたえのある」
この声の主、偉い神様とかなのだろうか?お決まりの展開だとしたらきっと、オレの冒険をサポートしてくれる存在なのだろう。ふむ・・・・・・どうせなら”ツンデレ女神”とかサキュバス的な”お色気お姉様”とか、逆にバリバリの”ロリっ子天使””とかそんなのが良かっただけに少しテンション下がるな。
『……我も傷つくのだぞ?』
「うおっ!ほんとに聞こえてた!!」
なんだろう、取り敢えず可愛いとは決して思わないけどちょっと好きになったな。良いリアクションだった。もうこの時にはオレはにわかには信じがたい「異世界転生」を果たしたことを受け入れていた。
そんな簡単に受け入れられることではないかもしれないけれど、退屈だったあの日々から一転したこの状況。パニックになるよりも受け入れてしまった方が楽しいいに決まっている。
さて、インデックス。まずはこの世界について幾つか聞きたいことがあるのだが?
『心得た。だが、その前に転生者よ。まだ汝にはこの世界での名が無い。今ここで決められよ』
名前……元の世界の名前には興味がないな。。。
MMORPGとかではよく「ああああああ」に設定してやり込んで、オレTUEEEEE!!していたけど、さすがに念願の異世界でずっと「ああああああ」と呼ばれるのは嬉しくない。
ふむ。。。
オレは浮かんだ幾つかの候補の中から、特に無難なものを選ぶことにした。
「オレの名前はーーツバサ。ツバサと呼んでくれ」
『ふむツバサか、承知した。ではツバサよ、汝の抱える問いに答えよう』