刺激を求めていたオレが念願の異世界転生を果たすも、そこはラスボス手前のセーブポイントだった件
さて、色々と確認しなければならないことは山積みなわけだけれど、まずはーー
「インデックス、ここへ飛ばされた影響なのか目と耳に違和感があるんだがこれは治るのか?」
せっかくの異世界だ、この目で見て、この耳で聞き、この鼻で嗅・・・ぐのはやめておこう。さっき嗅いだ腐敗臭を思い出して、嗚咽をはく。
『ふむ”調律”に誤差が生じていたようだ。世界を覆う因果律よ、狂いなきクロノスの双剣によりて、此の者に真名を指し示せ』
か、かかかか、かっけぇーーーーーー!!生詠唱!!これが、夢にまで見た生詠唱か!?うおーー中二病全開すぎて草生える!!w
インデックスの魔法?によって眩んでいた視界がふわっと晴れ渡り、かすんでいた外界の声がはっきりと聞こえるようになった。
オレは目の前の光景に目を奪われた。暗い洞窟の中だろうか、おぞましい濁った血液のような暗い紫色の岩肌がドクンドクンと脈を打っている。視界の奥に感じていた光は、そんなおぞましい空間の中で異彩を放っていて、その光を見るだけで安心感を感じるようだった。その隣ではやはり人影があり、かすかに聞こえていた声の主が5人で集まり何かを話している。
その奥にあるものを見た瞬間にオレは無意識に目を逸らした。心臓は警鐘を鳴らすように最大出力で鳴り響き、全身から冷や汗が吹き出した。呼吸が浅く早くなっていき、全身が強張り痛み出した胸を必死で手で抑え付ける。
「なっ、なんだよアレーー」
オレは呼吸のしかたを忘れてしまったかのように息を切らしながら、ゆっくりと、それを視界にとらえていく。
二度目に目にしたそれに釘付けになる。全身の血の気が更に引いていき、昏倒しそうになるが、それを目の前にして意識を失う事すら許されないようだ。
人の3倍はあろう高さ、戦車でも余裕で通過できそうな横幅の二枚扉。光の透過率など無視してしまいそうな漆黒の扉は無数の骸骨や拷問器具で装飾されている。中には苦悶する人型のオブジェがあしらわれているが、この距離からも”それ”がオブジェなどではないことが分かった。
あまりの禍々しさは、畏怖を軽々と超越し、神々しさすら感じさせる。それは死というものが、よりはっきりと生を輝かせるような、本能よりも前に生物に備え付けられた感覚に依るものだった。
「すごい・・・・・・これは、本当に・・・」
無意識にオレはまた笑っていた。
「この身体・・・・・・オレのじゃないな」
面白い感覚だ。確かに自分の身体なのに、目に映る華奢な指は明らかに本当の自分のものではない。けれど、自分の意志に準じて動くそれは確かに自らの身体であることを物語っている。
「インデックス、この世界について簡単に教えてくれないか?」
『承知した』
「インデックス、ここへ飛ばされた影響なのか目と耳に違和感があるんだがこれは治るのか?」
せっかくの異世界だ、この目で見て、この耳で聞き、この鼻で嗅・・・ぐのはやめておこう。さっき嗅いだ腐敗臭を思い出して、嗚咽をはく。
『ふむ”調律”に誤差が生じていたようだ。世界を覆う因果律よ、狂いなきクロノスの双剣によりて、此の者に真名を指し示せ』
か、かかかか、かっけぇーーーーーー!!生詠唱!!これが、夢にまで見た生詠唱か!?うおーー中二病全開すぎて草生える!!w
インデックスの魔法?によって眩んでいた視界がふわっと晴れ渡り、かすんでいた外界の声がはっきりと聞こえるようになった。
オレは目の前の光景に目を奪われた。暗い洞窟の中だろうか、おぞましい濁った血液のような暗い紫色の岩肌がドクンドクンと脈を打っている。視界の奥に感じていた光は、そんなおぞましい空間の中で異彩を放っていて、その光を見るだけで安心感を感じるようだった。その隣ではやはり人影があり、かすかに聞こえていた声の主が5人で集まり何かを話している。
その奥にあるものを見た瞬間にオレは無意識に目を逸らした。心臓は警鐘を鳴らすように最大出力で鳴り響き、全身から冷や汗が吹き出した。呼吸が浅く早くなっていき、全身が強張り痛み出した胸を必死で手で抑え付ける。
「なっ、なんだよアレーー」
オレは呼吸のしかたを忘れてしまったかのように息を切らしながら、ゆっくりと、それを視界にとらえていく。
二度目に目にしたそれに釘付けになる。全身の血の気が更に引いていき、昏倒しそうになるが、それを目の前にして意識を失う事すら許されないようだ。
人の3倍はあろう高さ、戦車でも余裕で通過できそうな横幅の二枚扉。光の透過率など無視してしまいそうな漆黒の扉は無数の骸骨や拷問器具で装飾されている。中には苦悶する人型のオブジェがあしらわれているが、この距離からも”それ”がオブジェなどではないことが分かった。
あまりの禍々しさは、畏怖を軽々と超越し、神々しさすら感じさせる。それは死というものが、よりはっきりと生を輝かせるような、本能よりも前に生物に備え付けられた感覚に依るものだった。
「すごい・・・・・・これは、本当に・・・」
無意識にオレはまた笑っていた。
「この身体・・・・・・オレのじゃないな」
面白い感覚だ。確かに自分の身体なのに、目に映る華奢な指は明らかに本当の自分のものではない。けれど、自分の意志に準じて動くそれは確かに自らの身体であることを物語っている。
「インデックス、この世界について簡単に教えてくれないか?」
『承知した』