あかいろのしずく
もう一つの物語 前編
全てのことを、教えて欲しいと言われました。
僕はここまで来た以上、もう後には引けません。
それなら今話しても問題ないでしょう。
隠さなければいけなかったのは、別に、僕が恥ずかしくて誰にも教えられないだとか、そんなことではないのです。
ただ、僕とあの子が「先生」と「生徒」だったからなのです。
冷たい廊下の床に腰を下ろして、ナナカさんは僕の話を真剣に聞いてくれました。
そして途中から、涙を流し始めました。
僕は必死に耐えていました。
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