あかいろのしずく

起き上がって気づく。アズマが、ドアの方を見つめたままでいること。


思えばその時、本人が嫌がってでも無理やり部屋に連れていくべきだったんだ。




しかし、やはり、束の間の休息とは束の間であって、数える間もないものなのか。







建物そのものが眠りについたような家の中に、カチャン、と小さな音が響き渡ったのは、すぐのことだった。


二人ともそれの正体がカギの開く音だと分かった時には、もう手遅れで。




廊下を走る音はしない。サキ以外は誰も部屋に戻っていない。
予想していた最悪の事態。


そしてあろうことか、カギの開く音は近くで聞こえた。