あかいろのしずく

予想のつかない事の連続で心臓だけが慌ただしく鼓動する中、アズマが小声で言う。




「部屋から出るなよ」

「当たり前でしょ」



私が小声で返すと、私の腕を掴む手を離してくれた。


それからアズマは「話が分かるやつで良かったよ」と言った。私はにこっと笑って、それ以上は何も言わない。


アズマも気づいたんだろう。たぶん、音がしたから咄嗟に私を引っ張ったんだ。
まさか、って顔をして少し驚いていたみたいだったけど。ようやく今、自分達の置かれている状況が分かったんだ。
< 256 / 754 >

この作品をシェア

pagetop