あかいろのしずく
物音を立てないように部屋のクローゼットに二人で隠れる。きっとこの選択が正しいはずだ。今できるのはただ、見つからないようにただ隠れるだけ。
ああ、まるで、かくれんぼみたい。
けれど、これは最悪の状況で、最高のチャンスだ。
きっとこれを逃せば、もう後がないと言えるほどに。
狭く暗い空間に落とされた、張りつめた空気。
私とアズマの吐く息が重なり、視線も同じ小さな隙間に向いていた。
近くの部屋のドアが開く音がして、二人同時に息を呑む。
間もなく、楽しそうに笑う鬼の笑い声が廊下に投下される。
「さて、どこに隠れたんでしょうねえ」