あかいろのしずく
空は青いのに、部屋は光で染まっているのに。
どうして足元だけが、真っ暗なんだろう。
残されたふたりは、しばらくその場から動けなかった。
自分の嗚咽が寂しく響きわたる部屋。足の上に落ちて弾ける涙。
もうどれだけの時間そのままでいただろう。
ショウトは私の前に手を差し出した。アズマよりは小さくて頼りない手だけど、とても、温かいもので。
私はその手に自分の手を重ねた。一つ鼻をすすって唇を噛んでから。
ショウトは私の手を引いて、まだ、涙声で言った。
「オレも、あんな風になりたかった」
私も、そうだと思った。