あかいろのしずく

「場合によってはそんなに怯えることもないんじゃない?」

「死んだ生徒に執着してオレ達を誘拐したんですよ? 危ないに決まってるでしょう?」




執着、か。


ショウトの言い分にも一理ある。
けど、サユリさんが言うように、そこまで怯える必要もないのかもしれない。




「何をされるか分からないなら、下手に動かない方がいいと思います。事が起こってからじゃ遅いから」




私がそう言うと、サユリさんは頷いた。



不意にアズマの方を向くと、目が合った。いつもなんとなく会釈していた私達だったけど、なんだか気まずい。


私は自分からさっと目を逸らした。
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