あかいろのしずく
甘くない現実、
目を逸らせない事実、
そして推測される最悪の事態。
でも、私達は今逃げるしかないんだと、アズマは言った。
眠れなかった。その日の夜は、怖くて眠れなかった。
アズマは「やるよ」と言って、私の背中に自分のジャンパーをかけてくれた。途中まで起きていてくれたけど、眠気に負けたらしく寝てしまった。
どうして私に話したのかは分からない。でも、こんなの、誰が聞いても鼻白み慄くに決まっている。だって。
「死ぬかも、しれない......」
アズマ以外誰も知らなかったことを、私はこの時初めて知ることになる。
先生に味方している、
「あかいろのしずく」という存在について。