あかいろのしずく
そしてその直後、カラン、と乾いた音を立てて、何かが床に零れ落ちた。
それは廊下の突き当りにある窓から差し込んだ、淡い青白い光を捉えてきらきらと光っていた。
二センチほどの銀の台紙には、透明な二つのふくらみ。見たところ中には何も入っていない。両方とも手で押して出そうとしたのか、凹みがあった。
もう飲んだ後の薬のゴミだということぐらい、それを見れば誰でも分かった。
何かがおかしい。
私は泣く演技も忘れて、アズマを見ていた。
操り人形の糸が切れたようだった。
アズマは抵抗することもしなかった。その体はまるで、誰かに優しく引き寄せられるようにして、床に崩れて落ちていく。