あかいろのしずく
初めて会った四日前の、第一印象。
クール気取りの同級生。
本人にも言えない本当のことを言ってしまえば、何かと、意地悪なひとだった。
みんなの前では偉そうだ。
そのくせ私にヒントはいくらでも出すんだ。
けれど本音は言わないし、直接助けを求めるようなこともしない。
時間がない、と、ある時彼は言った。
今では別に伏線なんていらなかったんじゃないの、って思う。
素直に「辛いよ」って言ってよ、って思う。
私バカなのにさ、分かんないにきまってるじゃん。
こうやって、目の前で何か起こるまで、気づかなかったじゃん。