あかいろのしずく

『随分偉そうな物言いだな』

あんたに言われたくないよ。




『こっち来い』

命令ばっかり。





『今から言うことは誰にも話すなよ』

期待ばっかで裏切るのな。





『ナナカ』

なに、


『バーカ』




その言葉、今からそのままそっくり返してやる。









「アズマくん」





倒れたアズマの隣にしゃがんで、呼びかけてみる。
意識を失っているわけではないが、返事は聞けなかった。


アズマはじっとりと額に汗をかき、その顔は血でも抜かれたみたいに、蝋(ろう)のように青白くなっていた。



先生はすぐに廊下の電気をつけた。
< 443 / 754 >

この作品をシェア

pagetop