あかいろのしずく
『随分偉そうな物言いだな』
あんたに言われたくないよ。
『こっち来い』
命令ばっかり。
『今から言うことは誰にも話すなよ』
期待ばっかで裏切るのな。
『ナナカ』
なに、
『バーカ』
その言葉、今からそのままそっくり返してやる。
「アズマくん」
倒れたアズマの隣にしゃがんで、呼びかけてみる。
意識を失っているわけではないが、返事は聞けなかった。
アズマはじっとりと額に汗をかき、その顔は血でも抜かれたみたいに、蝋(ろう)のように青白くなっていた。
先生はすぐに廊下の電気をつけた。