あかいろのしずく
『酷いことになったら、その時の判断も任せる。警察に突き出すなり噂で広めるなりなんでもしてくれ』
いくらなんでも投げすぎだろ、と俺は笑った。
濡れて冷えた頬が凍るように冷たかった。それは偶さか顔に当たった雪のせいかもしれないし、そうじゃない他のせいかもしれなかった。
『アズマ、頼むよ。お前しかいないんだ。お前が......頼りなんだ。
な? 引き受けてくれるか?』
その時俺はなんて返しただろう? もう思い出せない。
でもきっと、断るなんて言わなかったんだろう。だって今、その証拠に――。
朦朧とする意識の中で、俺は自分の携帯からメモリーカードを取り出した。