あかいろのしずく
ミナトとの会話は全てこの中にある。
もしこれが西平に見つかれば、隠しているようで隠しきれていない、その彼の怒りの矛先は、必ずミナトに向くだろう。
もしかすればそれで制裁を受けることで、ミナトの気が楽になるかもしれない。
けれど、この選択を俺に任せたのなら、俺がどうしようと勝手だ。
服のあちこちを手探り状態で探していたら、偶然、ポケットの中にペンダントが入っていた。
きっと薬を持ってくるときに掴んだのだろう。運が良かった。
俺はその銀の“ロケット”ペンダントを開けて、その中にメモリーカードを入れた。それを首から下げて、空っぽになった携帯を腕に握る。