あかいろのしずく
「古典的な仕掛けをしたかったから」
「古典的......?」
「そう。好きなの、そういうのが」
藤谷は、やはり変わった女性だった。
話を聞いていても話をしてみても、なんでも楽しそうに聞いて優しく笑うひとだった。
個室に戻って点滴の針を抜いたところの手当てをされて、今日の点滴は終わりになった。
もう少し様子を見ようという藤谷の提案に、俺は乗ることにした。それで少し話をしていたのだけれど、話題はさっきの仕掛けのことになった。
本人は防犯用として作ったらしい。そして分かったのは、俺はその犯罪者の類には入っていなかったということ。