あかいろのしずく



廊下の突き当りの窓の外から声がすると、俺は腕を離した。


西平は咳き込みながら地面に倒れた。俺はナイフを握り構えていた。もし何かあったらどうしよう。四人はこれで大丈夫だと思ったが、もし他に何か仕掛けがあればもうどうにもならない。


だからこそ、話をして時間を稼ぐんだ。
少しでも遠くに、ショウト達が逃げられるように。



「懲りないんですね......全く。ああ、これで全部台無しです」

「そりゃ良かった」



皮肉を込めて言ってやると、西平はなにが面白いのか「はは」と軽く笑った。
それからこんなことを言った。



「もうここまで来た以上、やることは一つしかありませんね」

「なんだ?」


西平が服についたホコリを払いながら立ち上がる。




「証拠隠滅です。ついでに君も一緒に死にましょう」
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