あかいろのしずく
「純に会ったんだ。カツ入れてもらって帰ってきた」
「なにそれ」
ナナカがすん、と鼻をすすって笑う。
「まだ、天国に来ちゃ駄目なんだってさ」
「当たり前だよ。生きてるんだから」
「それがルールか?」
「うん、そうかも」
そうか、と。
また、俺はようやく気付く。
ナナカは純に似ているんだ。だからどこか、危なっかしくて、明るくて、優しいところが目につくんだ。同じようなことも言う。
でも、助けに来てくれるなんて、思わなかったな。
そう言って目を伏せると、ナナカは「あのね」と呆れたように言う。
「なにも出来ないんだったら祈るぐらいしようよ。どうにもならないときは、信じて待っててよ。ちゃんと助けてあげるから」
堪えていた涙が、頬の上で二つ、真っすぐに線を描く。