あかいろのしずく
目を輝かせて言う姿に、当然嬉しさはあったが少し戸惑ってしまう。そうストレートに言われてもな、なんだかな。
そう思っている間にも火はまわり始めていたので、俺はまだ喜んでにこにこしているナナカに言った。
「お前、先に逃げてな」
「えっ、なにゆえ」
キョトンとするナナカ。
「俺足使えないから。担いで窓からはさすがにおりれないだろ」
「え、でも、じゃあアズマくんどうするの」
「あー、だから。助け呼んできてって」
「間に合う?」
「知らん」
間に合わないかもしれないけど、その時はその時だろ。
また純の所へ帰るだけの話だ。もう、覚悟は決めている。