あかいろのしずく
案外人の事見てるんだな。まあ、待ってる間に探すのもいいか。西平がここにいたということは、この部屋のどこかにあるってことだし。
「まあ、そうだな。探すか」
メモリーカードが無事なら、中にある情報もまだ手元に残る。粉々になっているならまあいいけど、できれば見つけたいところだ。
そう思い地面に手をついた、その時だった。
ガタ。
頭上から小さな音がした。
上を向いたナナカの右頬に、橙色の光が灯っていた。ほんのり赤く染まった黒髪と、瞳の中で揺れる炎。目がチカチカするほど消えたり明るくなったりを繰り返し、もうそれだけ経っただろう。
時が、止まったような気がした。