あかいろのしずく
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母は植物が好きなひとだった。
春に生まれた私に、なにか花の名前をつけたかったんだそう。菫や桜。一応、苺も候補に入っていたと聞いたが、母は色々考えたものの、どれもピンと来なかったらしい。
そんな時に春の七草を思い出して、母はなんとかその要素を取り込めないかと迷うことになる。
さて、ここで皆さんご存知の通り七草粥が登場するが、七草粥を食べる時期はもちろん一月である。なんということでしょう。もう既に季節のズレが生じている。
しかし、安心してほしい。
昔と今の月では少し違いがあったので、昔、一月は春とされていたのである。今がどうかはもう何もツッコまないでおこう。母もそこは気にしないようにしていた。