あかいろのしずく
そしてその想いで満たされるような、幸せな人生だったんだ。
「ありがとう」
僕は言います。純は「泣かないで」「私もありがとう」「愛してる」そう繰り返します。それで僕はまた涙を誘われて、そんなこと言うんじゃない、と心の中で呟きました。
純が僕を包んでいた手を離して、涙で濡れた僕の右手を取りました。
腕を引かれて前を見れば、白い花々と透き通った空の青に、溶け込む純の明るい笑顔。
「行こう!」
きらきらして見えました。その顔は、涙を吹き飛ばして僕を笑わせてくれるぐらいに。
僕はここに来て、良かったと思いました。
本当に本当に、純に会えて良かったと思いました。
だってやっぱり、こんなにも、きみには笑った顔がよく似合う。
end