広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
「広瀬くーん!」

「!」

呼び声に広瀬くんが振り返る。

出入口のところに女の子が立っていた。

クラスメイトの更級《さらしな》さん。

女子のクラス委員だ。

ちなみにすごい美少女。

ああいう子が『砂糖菓子でできているみたい』というんだな……なんて。

更級さんを見るたびに思う。

「見つけたー!あのね、先生に資料作成を頼まれたんだけど、よくわからなくて…。教えてくれる?」

「うん、わかった。すぐ行くよ。

……じゃあ、日下部さん。またあとで」

「あ、うん」

広瀬くんは食器を返却すると更級さんのところにいってしまった。

なにやら話しながら並んで食堂を出ていく二人をぼんやり見送る。

……お似合いだな、なんて。

「……あ!それよりプリンだ!あんまり遅いと売り切れちゃう」

私は急いで購入列に並び、無事にプリンをゲットした。

それから弥生とおしゃべりしながらそれを完食。

食堂のプリンはいつも通り、甘くて、とろけるようにやわらかくて、最高においしい。

……でも。

なんでだろう。どうしてか、いつもよりカラメルがちょっぴり苦く感じた。

< 13 / 74 >

この作品をシェア

pagetop