広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
広瀬くんが少しだけ言いよどむ。

なんでもハキハキ話す彼にしては珍しい。

言いにくいことなのだろうか。

(……は!

も、も、もしかして……。考えにくいけど、ものすごーく考えにくいけど……。これはよく少女漫画であるあのシチュエーションなのでは……!?)

放課後。

クラスメイトに呼び止められる。

と、なると次にくるのは……こくはく。

(……て、そんなわけないよね)

いくらなんでも自惚れすぎだ。

顔も性格も(たぶん)ごくごく普通の私に、あの広瀬くんが告白するはずがない。

おそらく何か提出物を出し忘れているのを教えてくれるつもりなんだろう。

「あの、さ。日下部さん」

「あ、うん。なにかな。英語かな。それとも古文の課題の提出期限がもう過ぎてた?」

「………え?」

広瀬くんがぽかんとする。

「あの、提出物の話じゃないの?私、なにか出し忘れがあるんじゃ……」

「え、いや、違うよ。クラス委員としてじゃなくて、僕個人から話したいことがあるんだ」

「!?」

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