広瀬くんは、いっぱい食べる私が好き
「……うーん……。

正直に言うと、純粋にそれだけだというんじゃない。

でも、日下部さんの美味しそうに食べている顔がいいなって、こっちまで幸せになるなって。

日下部さんみたいな人に、僕の料理を食べてもらいたいなって……そう思っていたのは本当。

その理由じゃ、納得してもらえない?」

「………」

広瀬くんは全部を話してくれたわけじゃない。

私に隠している理由もある。

もしかしたらそれが、彼が周りの人に料理の話をできないことに関係あるのかもしれない。

でも……

今、話してくれたことは嘘じゃない。

それは私にもわかる。

「……ううん。そんなことない。ありがとう、広瀬くん」

だから今はこれでいいんだ。

広瀬くんの安心したような笑顔を見て、心からそう思った。

「……あー、美味しかった!ごちそうさま、広瀬くん。

あ、お弁当箱、軽く洗ってくるね」

広瀬くんの作ってくれたお弁当箱はきれいに空になった。

ちょっぴり緊張が伝わってくる真面目な料理だったけど、本当においしかった。

「いいよ。そのまま返して。

それより……もし日下部さんがよければ、またこんな機会に、僕の弁当を食べてもらっていいかな」

「!」

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